「エアコン騒動」 |
それでなくともビルの外壁塗装工事は遅れに遅れている。
ブラインドは閉じたまま。
外はジメジメ、内はジトジト。
気も滅入る。
部屋の中の湿気はギターにとっては大敵である。
エアコンのスイッチを入れた。
ブ~ンと立ち上がる音が響き、次第に冷気が広がり始めた。
肌に纏わる湿気が取れて、サラッと身軽に感じる。
パソコンの前に座り、メールのチェックを始める。
今日はサクサクだ。
一昨日は急にグーグル・クロームがご機嫌斜めとなり往生した。
結局はグーグルは捨てた。
それが幸いしたのかもしれない。
暑い!何だか暑くなって来ている。
そう言えばエアコンの振動音が聞こえない。
でも、送風のモーター音は出ている。
エアコンの前に立つと、出て来る風が熱い。
スイッチを送風モードに切り替え、暫く様子を見たが、風の温度は高いまま。
外気温を探る為、隣に設置されているエアコンを送風モードにし、手をかざすと涼しい風。
間違いなく故障だ。
取り敢えず、スイッチを切って、隣のエアコンのスイッチを入れた。
涼しい冷気が嬉しい。
でも、頭の中は「大出費、大出費」とパニックている。
仕事モードに頭のスイッチを切り替え、パニクリモードを消そうと必死で画面と暫く格闘していた。
おかしい、、、暑さが再び戻って来たのである。
アレッ? 何とエアコンが停止しているではないか。
これは如何考えても異常である。
2台同時に故障する確率は極めて低い。
これは機械自体の問題ではなく外部要因としか考えられない。
ブラインドを全開して、窓から外を観察すると、何とエアコンの排気口の周りが薄い養生シートに覆われているではないか。
これでは排気が出来ない。
エアコンが熱を持つのは当たり前である。
こいつが犯人だ。そう確信した。
直ぐに管理人さんに報告し、現場の監督さんに事情を説明し、対処を求める。
また工事現場の説明も受け、現場事情にも納得した。
しかし工事の処理方法に問題があった事も指摘した。
どの道、今直ぐに対応は無理だと判断。
この日は暑いのを我慢することにして、先ずは明日の事としましょうと別れた。
誠実な人柄の若い監督さんだった。
息子くらいの年齢であろうか。
内心では非常に心配しているに違いない。
夜も眠れないであろう。
明くる日、直ぐにエアコンのスイッチを入れた。
が、送風はOKにもかかわらず、冷房のスイッチが入らないではないか。
ため息が出た。
深呼吸だ!
気を取り直し、もう一度スイッチを入れ直した。
ブ~ンとうなり声が上がったではないか。
お隣もスイッチON。
こちらもOKだった。
直ぐに監督さんに「大丈夫だったよ」と電話を入れた。
「ありがとうございます。ご迷惑をお掛け致しました」明るい声が跳ね返って来た。