「偶の患い」 |
熱もなくなり、体も軽くなった。
だからこれは単なる風邪で、インフルエンザではないと一昨日のブログに書いたのだが、間違っていた。
一昨日だから、金曜日の夜のことである。
体調は取り立てて悪いとは感じてはいなかったのだが、
何とも云えない違和感は消えていない。
午後6時半過ぎに嫁から電話が入った。
何時もの 「今日、何食べたい?」 コールであるが、
そう毎日毎日何が食べたいと訊かれても答えに窮すではないか。
素っ気なく 「何でもいいよ」 と返すと、「ふ~ん」 と言ったきり暫し沈黙の時間が流れた。
電話の向こうの嫁の膨れっ面が目に浮かぶ。
ほんの数秒後だろうか、「ところで、体調は如何?」 と妙に優しい声が耳元に響いたではないか。
不意打ちを喰らったようで、声が突っかかってしまった。
頭の中では 「可もなく不可もなしと言ったところかな」
と曖昧な返事を戻そうと考えていたのだが、
思わず口から出て来た言葉は 「今から医者に行くわ。確か7時までやったと思うから」 だった。
診療時間終了間際の駆け込みであった。
伏せ目がちに、 「どうも風邪気味で」 と受付けカウンターに告げる。
直ぐに体温計を出され、体温を測った。37度3分だった。
待合いには誰もいなかったので、直ぐに呼ばれるものだと思っていたのだが、意外と長く待った。
一人の男性が診察室から出て来た。
暫くしてもう一人の男性が出て来た。
診察室に入り、ここ数日の様子を医者に告げた。
内心では 「これは風邪ですね」 との言葉を待っていたのだが、
彼の口からは 「インフルエンザの可能性がありますので、検査しますか?」
という思いがけない言葉が戻って来たではないか。
思わず 「そんなに熱も上がってはいないのですが?」 と問い掛けると、
「今の患者さんはいろいろ薬を飲まれていますから37度台でも充分に考えられます」
ときっぱり告げられた。
鼻の奥に綿棒を入れ、鼻汁をたっぷり含ませ、検査器に掛ける。
そして待つ事15分。
検査結果を示すシートには 「FLU A:+ B:*」 と印字されていた。
治療は吸入式のもだった。
別室で指導を受けながら吸入した。
恐らくこの薬を持ち帰り、個々で吸入するとなれば難しいからかもしれないのが理由であろうか。
確かに少々面倒であることは理解出来た。
事務所に戻り、自宅へインフフレンザ確定の連絡を入れた。
家の中では隔離状態。
無論冷たい扱いを受けるのは覚悟の上ではあるが、これ程までとは思わなかった。
翌日の土曜日の昼過ぎには平熱に戻ったが、今日のギター教室は中止にし、
明日来訪予定のお客さんにも連絡を入れ、またの事とした。
相手は見えない敵である。
何処で貰ったのかは全く分からない。
恐らく疲れが溜まり、自己免疫力が低下していたのだろう。
なった事は今更何を言っても仕方がない。
それよりも、お蔭さんで酒が抜けたことに感謝することにしたい。
偶には患うものである。
お大事に。