「付きのない日」 |
目覚めもよく、ご機嫌なスタートだったが、
歯磨きの途中、奥歯の被せ物が取れてしまった。
今年3度目である。
直ぐに行きつけの歯医者さんに電話をし、午後からの予約を入れた。
お陰で予定変更を余儀なくされ、その調整だけでうんざりだが、それも仕方がない。
出鼻を挫かれ、一気にテンションが下がり、歯を磨く手が急に重く感じる。
台所に戻ると、嫁は娘と電話中だった。
如何やら孫のことらしい。
そうなると何時もより早く出掛ける可能性が大となり、より予定に狂いが生じる。
細心の注意を払いながら、聞き耳を立てた。
孫の二の腕のかぶれの事らしい。
赤ちゃんは痒いと無意識に掻いてしまう。
だから余計にかぶれて、炎症を起こす。
薬も処方されているのだが、これをずっと繰り返して、一向によくならない。
赤ちゃんの皮膚や薄くて柔らかい。
時が来れば治癒するのだろうが、今は見ていても可哀想なくらい赤く爛れている。
午前診に間に合うように出発するとの事。
予感は的中したので、心の動揺はない。
しかし危惧していたことも的中した。
道路工事に因る交通渋滞に巻き込まれてしまったのである。
先日来、土・日にも拘らず工事を遣っていたので、
気になっていたのだが、矢張りそうであった。
迂闊といえば迂闊であった。
孫は爺と婆は遅れるであろうと予感していた如く、昼寝に入ったらしく、
予定は変更され、午後診となった。
嫁は娘の家で昼食を共にするらしく弁当を買いに行くと言う。
その店には孫の好きな出汁巻き卵があるそうだ。
俺もそれに便乗し、ねぎ入りの出汁巻き卵弁当を買った。
成る程、中々旨いものである。
指定された時間の5時半に歯医者さんに出向いた。
暫く待ったが、受付から呼ばれ、明日にしてくれないかとの要請。
それも仕方がないかと諦め、明日の午後3時半とした。
如何やら今日は付きのない日のようだ。