「カレー曜日の夕暮れ」 |
朝方に小雨が降ったようだが、覚悟した程でもなく、
何だか肩透かしを喰らったみたいで、拍子抜けの感がある。
しかし、気温はぐんと下がり、ファンヒーターなしでは過ごせない。
どうも我が家は外気温と比べると数度低いようである。
こうなると、出掛け前の嫁はああでもない、こうでもないと、衣装選びに煩い。
あたふたするばかりで、時間が掛かって仕様がない。
待つ身の俺は着た切り雀。着替えの時間などは数分あればおつりが来るくらいに短い。
今日も車の中でラジオを聴きながら待つことにした。
お陰でちょっぴり昼寝が出来て、爽快だ。
「な~んや、外は暖かいやん」
嫁がブツブツ文句を言いながら、ドアを開いた。
そう言えば、車の中はエアコンなしでも暖かい。
「今日の天気予報は外れたな」
そんな事を言いながら車をスタートさせた時に電話が入った。
娘からだ。
孫を連れてハーバーへ行くとの約束をしたようである。
一応誘われたが、丁重にお断りした。
時折日差しもある、然も妙に暖かい。
変な天気だが、寒いよりは遥かに好い。
この具合では区役所までは歩いていけそうだ。
お散歩代わりに丁度良さそうである。
ブラブラ行ってみよう。
窓から外を眺めると、未だ日は高いが、飲み屋のネオンサインにはもう灯が入っている。
時刻は午後6時だが、こうも日が高いと、飲み屋に繰り出すには気が引ける。
そう言えば、今日は休肝日だと言われていたようだが、そうするとカレー曜日となる筈だ。
しかし今朝、「人参がない!」 と嫁が叫んでいたような気がするのだが、
今更確かめる気もない。
別に人参抜きでもいいではないかと思いつつ、ネオンサインを見詰めている。