「3月28日金曜日」 |
パッチを脱いでしまおうかと思わせる程の陽気である。
気温は確実に20度を超えている筈だが、これに騙されてはいかん。
迂闊にパッチを脱ごうものなら、えらい目に遭うのは必定である。
衣替えは慎重の上にも慎重を期さねばならない。
年々下半身の冷えが気になる。
椅子に座りっぱなしでいると、足先から冷えが上がって来るような感じがしてならない。
だから、この冷えの感じが取れた時が春の衣替えのゴーサインだと思っている。
土曜・日曜に雨の予報が出ている。
こういう場合は特に要注意だ。
如何に南からの暖かい空気が張り込もうが、この時期の湿り気は必ず温度を下げる。
根拠はないが、俺の体感センサーがそう言うのであるから、間違いない。
娘から電話が入り、神戸駅にいると言う。
これはチャンスである。
恐らくラストチャンスであろう。
と云うのは、スクラッチカードの有効期限が3月末までだからだ。
今月の初めに神戸駅構内にある飲食店で
お持ち帰りのどんぶり物を買った際に貰ったスクラッチカードで500円が当たったのである。
一回の食事代金に等しい金額であるから無駄にはしたくない。
しかし、神戸駅となると結構面倒である。
だから、中々行く機会を作れなかった訳だ。
ジャッケトを羽織り、神戸駅へと向かったが、少し歩いただけで汗ばんで来た。
風もない絶好の陽気の中では俺のジャケット姿が暑苦しく感じた。
周りはもっと春めいた装いをしているかと見回したが、
未だそんなに華やいだ格好ではなかった。
さすがに着膨れした人はいなかったが、まだまだカラフルとまでは行かない。
皆それぞれといった地味目の感じの格好をしている。
孫はバギーの中で寝ていた。
娘にスクラッチカードを見せると、やった~と親指を立てていた。
立て込んでいる時間帯だったので、バギーが置けるか心配したが、
件のどんぶり屋さんに行くと、親切な店員さんは椅子を一つ空け、
バギーのスペースを確保してくれた。
俺は久し振りのカツ丼。
娘は海鮮丼。
娘が 「それで足りるの?」 と訊ねてきたので、
先日のラーメンと大盛り焼き飯の話をして、「今は自粛している」 と告げると、
「相変わらずやな」 と笑っていた。
レジで精算をすると、またスクラッチカードをくれたが、今度はハズレだった。
事務所に戻った。
遣る事は山のようにある。
苦手な決算の準備のことだ。
毎年のことだが、この時期が一番嫌である。
桜が咲き、新緑に囲まれる、そんな最高の季節だと言うのに、
俺は数字に囲まれながらの鬱々とした日々となる。
まぁ、愚痴を言っていても仕方がない。
今年くらいは玄関先の桜を愛でながらゆっくりと花見酒といきたいが、
果てさて如何なることやら。