「ヘムヘム君」 |
うちの孫は女好きらしい。
テレビに映る美人女優を見ると手をバタつかせ、ハッハと息を荒げるそうだ。
綾瀬はるかが特にお気に入りという。
好みが似ているのかもしれない。
内弁慶でもある。
先日の予防接種のときなどは、終始泣きっぱなし。
横抱きすると意気消沈。
たまに、立て抱きにすると急に強気になり、
隣に女の子がいると、お得意のバタバタ作戦に出るそうだ。
どうやら威嚇しているつもりらしいが、
衝立の向こうから赤ちゃんの鳴き声がしようものなら、途端に貰い泣き。
それもヘムヘムと奇妙で、しかも弱々しい泣き声を発する。
だから近頃はヘムヘム君と呼ばれている始末。
誰に似たのであろうか。
昨夜は娘夫婦からメリケンパーク・オリエンタルホテルのバイキング料理の招待を受けた。
正直、余りバイキングは好みではなかった。
しかし、昨夜でその思い込みは捨てた。
一つ一つの料理が美味かったのと、家族連れも多く、
アット・ホームな雰囲気が気に入った。
スペースも広く、赤ちゃん連れでも特に気を使う必要がなかったくらい、
ゆったりと食事を楽しめたからだ。
唯一つ難点を言えば、アルコール飲料は高かった。
まぁ、それを言っちゃ~、お仕舞いだから、これ以上は言わない。
ヘムヘム君は大人しかった。
最初は物珍しそうに辺りを見回していたが、テーブルに付くや否や、
得意の足蹴りを試みていた。
バギーから足を伸ばし、テーブルの縁を蹴る仕草をするのである。
短い足で盛んに蹴ろうとするが、中々上手く行かない。
そんな孫の成長の一こまを見ながらの一杯もいいものである。
30年前の子育ての時期とは隔世の感がある。
赤子を連れての食事などは、他のお客さんへの遠慮が先立ち、
とても食べた心地がしなかった。
特に男親はそうである。
その点、女の人は強い。
腰が据わっているのだろう。
食事にも、子連れ、孫連れもOK。
いい時代である。
そういう意味では子育てもエンジョイ出来るというものだ。
普段は始末をし、偶には皆でお食事会。
ささやかな幸せをかみしめたい。