「忘れ忘れの一日」 |
今日のお昼はレトルトカレーで済ませた。
昔懐かしいネーミング。
もう忘れてしまっていたが、久し振りに食ったら、中々である。
所定の用事を済ませたし、レトルトカレーにも満足した。
しかし、玄関口まで来た時 「うん?」 何か忘れているような気がした。
土間に佇み、暫し考えたが、出て来ない。
出て来ないものは仕方がない。
車へと向かった。
ドアを開き、コートを助手席に置いた時、やっと気付いた。
二つあった。
年賀はがきと灯油缶だ。
家に戻り、面倒だが、靴を脱ぎ、パソコンの前に置いていた一枚のはがきを手に取った。
車中では 「ええなぁ~」 に引き続き 「こんちはコンちゃん」 を聴きながら、ご機嫌そのもの。
渋滞もなく、20分程で駐車場に到着。
ハンドルを右に切り掛けた時に真っ赤なコーンに 「満車」 と書かれた紙が目に飛び込んだ。
一瞬怯んだが、そのコーンは向かって左側に寄せれており、
車が通れる程度に真ん中が開いている。
そして電光掲示板には 「P」 と表示されている。
地下通路へ車を進めた。
駐車発券機の前で待たされるのは覚悟の上だったが、
発券機のボタンを押すとス~と駐車券が出て来たではないか。
然も、駐車場内はガラガラ状態。
拍子抜けである。
きっと管理人のおじさんが 「満車」 の張り紙を取り除くのを忘れていたに違いない。
紛らわしい限りである。
今日から平日モードである。
久々にスロジョギを遣ろうと心に決めていたのだが、
着替えの下着を持ってくるのを忘れてしまったようだ。
どうやら忘れ物は3つであったみたい。
一気に心が萎えた。
そうこうしているとドアが開いた。
娘と孫のお出ましだ。
十二分の昼寝をしたらしく、孫はすこぶるご機嫌のニコニコ笑顔。
頻りにアブアブ、キャッキャと奇声を張り上げて、手足をばたつかせている。
娘ご持参のドラ焼きを頬張り、こちらもニコニコ笑顔。
「ほんまに、一枚のはがきを出す為に化粧をし、大変やわ」 と、
餡ころ餅を頬張りながら急に娘がぼやき始めた。
娘の声を遮るように、「わぁ~」 と叫びながら、カバンの方へ走っていった。
年賀はがきを出し忘れていたのである。
忘れ忘れの一日だった。
ハガキは娘に託した。
後はガソリンスタンドへ立ち寄り、灯油を二缶買うことである。
これを忘れると寒い夜を凌ぐことが出来なくなってしまう。
ちょっと早めに帰ることにしよう。
そうすれば、万一忘れても、閉店までには間に合う筈である。