「明日は明日の風」 |
朝、目を覚ますと縁側の障子から差し込む陽光がいやに眩しい。
台風は早足で駆け抜けたようだ。
「嘸や外の空気は美味いだろうなぁ」 そんな衝動に駆られた。
するともう駄目、居ても立っても居られない。
縁側の窓を一気に開けた。
冷たく重い風が一気に吹き込み、枕元の文庫本の上に置いていた栞をひらりと飛ばした。
予期せぬ寒さに襲われ、無防備な俺は思わずクシャミを連発した。
暖かく穏やかに感じさせる障子越しの陽光にまんまと騙されたようだが、
北風が台風に誘い込まれたのであろうか、
今朝の気温は何時にも増して一段と冷え込んでいる。
朝の陽光はほんの束の間、
次第次第に厚い雲に覆われ始め、出掛けにはポツリポツリと降り出してきた。
台風一過、やっと晴れ間が訪れたと喜んだのも糠喜びだったのかと思うと、がっかりだ。
車は楠公さんの地下駐車場に留めた。
先週はお宮参りでお世話になったが、
今日も数組の七五三参りの家族を地下街で見かけた。
孫の七五三もあっという間に来る。
という事はこちらもあっという間に歳を取るという理屈だ。
そう思うと、ちょっと切ない気がせぬでもない。
事務所に入り、パソコンを立ち上げ、
メールをチェックしている処にSさんがギターを抱えて入って来た。
怪訝な顔を浮かべると
「あれっ、今日のギター教室は、、、」 とSさんも自信なさげに見詰めている。
「今日は第4週目やから、自宅でのレッスンと違う」
そう言うと 「わぁ~間違えた」 とドアを開け、飛び出して行かれた。
エレベータの扉が閉まる前に 「電話しておいたほうがええで」 と一声掛けた。
Sさんには悪いが、ネタに詰まっていた処であったから、
早速この話を追加し、数行稼がせてもらった。
それはそれでよかったのだが、明日のネタがない。
今日、明日は冷たい風が吹くと天気予報で言っていたが、
ブログのネタは明日は明日の風が吹くと居直る事にする。
今から明日までの間には何事かが起こっている筈である。
そう言えば今夜は日本シリーズの開幕戦が宮城で行われる予定である。
ちと雨が心配であるが、こちらは晴れて来ているので、
向こうも大丈夫であろうと楽観している。
いい試合を望む。