「年寄りの冷や水」 |
風がなく、空気が動かない。
じっとしていても汗が吹き出す。
茹だる様な暑さとはこういう状態のことだろうか。
こんな中で、然も真昼の炎天下でのスロジョギなどは自殺行為に等しい。
こういう場合年寄りの冷や水と言うのだろうか。
冷や水であれば涼しくて気持ちがいいのだが、、、
近頃なんだかんだと用事が嵩み、帰宅が遅れがちである。
幸い兄ちゃんは休日で、家にいたので、
先日千葉のSさんから頂いた「茶豆」を湯掻くようにと指示をした。
全く経験がなかったので、躊躇していたが、
事情を察して、不承不承ながら請け負ってくれた。
老婆心から 「茹で過ぎだけは注意しろよ」
と電話の最後に一言付け加えたが、正直心配であった。
いやはや驚いた。
何と云う見事な茹で上がりだろう。
感心した。
色艶、香り、そして塩加減といい、絶品の出来映えだ。
余りにも見事であった為、口を極めて誉めちぎった。
傍にいた嫁が 「どうせ私の茹で加減はエエ加減やから」 と臍を曲げたくらいだ。
「塩を軽く一摘み入れて湯掻くんや。茹で時間は3~4分程度かな」
「湯掻き上がったら、ほんのチョッとの塩を振るだけや」
自慢気に鼻高々だった。
早速ビールで乾杯。
田井君もこの枝豆には驚いていた。
俺はもっぱらこればかりに終始した。
熱燗でも美味かった。
食後、上機嫌でパソコンを開いた。
何気に履歴をみたら 「枝豆の湯掻き方」 とあった。
これで謎が解けた。
そう言えば以前松永さんから太刀魚を頂いた事があった。
捌き方が分からず、てんやわんやの挙句パソコンで 「太刀魚の捌き方」 を検索した。
その時も今は何でもインターネットで情報が取れるんだと感心したものだったのだが、
兄ちゃんも矢張り利用したようだ。
娘夫婦も赤ちゃんの沐浴の仕方などを探っているようだ。
本もあるし、情報はいくらでもある。
そう云う意味ではいい時代である。
婿殿に聞くと 「知識だけはあるのですが、どうも実践では緊張して、、、」 と言っていた。
「習うより慣れろだよ」 とアドバイスしておいたが、
実は俺は未だ首が座らぬ孫を抱くのは怖い。
もう30年も経つと忘れてしまっている。
これから 「赤ちゃんの抱っこの仕方」 でも検索してみようかと思っているのだが、
まさか 「年寄りの冷や水になるから止めなさい」 とは出て来ないと思うが。