「若い汗」 |
昨日は突然の雷鳴に怖気付き、お散歩を中断した。
しかし体は正直だ。
汗を掻け、汗を掻けと命じてくる。
正に汗を掻きたい症候群である。
朝のラジオでは本日の天気は昨日よりは安定していると言っていたのを幸いに、
今日こそはとの思い出で、事務所に着くや否や飛び出した。
道向こうのチサンホテルを覗くと、玄関口に二つの看板が立てられていた。
「丸亀高校」 と 「花巻東高校」 であった。
この立て看板を見ると高校野球の季節だなと思う。
南北の横断歩道を渡り終え、
数歩前に出た時に後ろから 「キャア~」 と女の子の叫び声が響いた。
すわ何事かと振り返ると、数人の女の子が横断歩道を渡りきった処で何かを拾っていた。
暫し立ち止まり、様子を伺った。
どうもコンビニで買ったペットボトルを入れたプラスティック・バッグが破れ、
中身が落ちた様子だ。
慌てていたが、その中の一人が声を上げた。
「歩いている人たちの邪魔になるから、とにかく拾って、脇に寄ろう」
若いのに見上げたものだ。
大人でも中々出ぬ言葉である。
こんな光景に出会すと、この国も未だ未だ捨てたもんじゃないと嬉しくなってくる。
着ていたTシャツを見ると文化ホールで催されている
ダンス・コンクールに出場しているメンバーのようだ。
文化ホールへと繋がる陸橋の手前に来た時、出場したメンバー達の一群と擦れ違った。
背に何かを抱えている。
よく見ると、机のようだが、かなり重そうだ。
歯を食いしばり、黙々と歩いている。
担いでいるのは男の子。
そう、集団の中では間違いなくマイノリティである。
何処まで行くのだろうか?
ひょっとしたらチサンホテルが宿舎なのだろうか?
高校野球の選手たちも大勢いるのに、部屋は大丈夫なのだろうか?
余計な心配が胸を横切った。
まさか前を歩いているおっさんがそんな思いをしている事とは知る由もないが。
そう言えばチサンホテルの人が言っていた事を思い出した。
宿泊されている出場校の試合の時にはこの暑い最中でもスーツを着て応援に行くらしい。
ダンス・コンクールにも行かれるのであろうか?
炎天下の甲子園では選手達は物凄い量の汗を掻くに違いない。
舞台で踊りまくる選手の汗も半端じゃないだろう。
俺も今日は4周走り、相当の汗を掻いた。
勝敗は時の運。
懸命に白球を追いかければいい。
一心不乱に踊り舞うのも青春だ。
汗を掻くのは気持ちがいい。
無心に戦って欲しい。