「シュークリーム」 |
「今日しかないなぁ」目覚めた時に決心した。
同時に母の好物のシュークリームの選定に迷いつつ、
今日一日の段取りを寝床で整理した。
一昨日母の体調が芳しくないと兄嫁より連絡が入った。
兄嫁によると、その時母は発熱を起こし、体が動かず、介護タクシーを呼び、
掛かり付けの診療所へストレッチャーで運ばれたそうだ。
幸いさしたる異常は見つからず、明くる日には熱も下がり、
元気を取り戻し、食欲も戻ったらしい。
しかし医師からの勧めもあり、昨日念の為に病院へ行き、精密検査を受けたと聞いた。
兄嫁からの連絡が入って以来、気が滅入ってしまった。
直ぐに飛んで行きたいのだが、仕事との折り合いを考えてしまう自分がその一方にいる。
生来のウジウジ考え込む、嫌な性格の事だ。
頭の中では分かっているのだが、ついつい仕事云々との言い訳が口をつく。
日頃他人に言っている台詞とは全く違う態度である。
そんなこんなで、結構参っていたのだが、嫁は俺の顔つきを見ると判るんですなぁ。
嫁は「直ぐに行け」と肩を押してくれた。
何時もより早昼御飯とし、午前中に事務所へと急ぎ、
ブログの更新と少し遣り掛けの書類整理を終え、
続いてハーバーランドへシュークリームを買いに走った。
以前から聞いていた「ビアードパパ」というお店へと向かったのであった。
美味そうに食べる母の顔が浮かんでくる。
その足で駐車場に行き、車を出した。
一時間足らずで実家に到着。
シュークリームを片手に下げ、母の前に出した。
「ありがとう」
「私、それ好きやねん」
「隆司がよく買うて来てくれるんや」、、、
母はこのシュークリームを既に食べ知っていたのであった。
少々ガックリとしたが、気を取り直し「元気そうやな」と声を掛け、
母の額に手を当て熱をみた。
平熱であった。
その時胸ポケットの携帯が振動した。
お客さんからだ。
今大阪にいるので、30分後に伺いたいとの事。
30分ではとても無理なので、
1時間30分の余裕が欲しいとお願いをした処、快く了承して頂いた。
母にその旨を伝えた。
ベッドの上に腰を掛け、ウンと頷き「行っといで」気丈に言い放った。
「また来るわ」と言い残し、実家を後にした。
因果な商売である。
それもこれも自らが選んだ道だ。
事務所へと引き上げる道中そう思い続けた。
連休が明けたら顔を出そう。
次は未だ母が食べてはいないシュークリームを持って行ってやろうか、、、
只俺は全くスイーツのことは知らない。
誰か教えて下されば有難いのだが、、、
m(_ _)m