「わからない」 |
他人様のことをとやかく言う資格など持ち合わせてはいない。
決算書類の期限が迫っている。
あと一歩の所まで来ているのだが、どうもやる気が起こらない。
この季節は憂鬱だ。
気晴らしにお散歩に出かけた。
日差しは強かったが風があり絶好のお散歩日和だ。
こういう日にはサングラスをかける。
そうすると前から来る人達は俯き加減に避けて行く。
他人から見れば「人相の悪いおっさんが来た」という感じなんだろう。
掛けたくて掛けているのではない。
目の保護のためである。
しかし、他人にはこちらの事情は分らない。
文化ホールへと続く陸橋がある。
そこら辺を根城とする50絡みの一人の浮浪者のおっちゃんがいる。
丸刈り頭で風体はむさくるしくはないが、目つきが鋭い。
彼がその陸橋で昼寝をしている姿をよく見かける。
植栽と植栽の間を直線で結ぶように寝ている。
歩くには邪魔ではないが、ちょっと気色悪い。
女の人であれば、尚更だろう。
今日は陸橋の途中にある体育館へと降る階段で酒盛りをしていた。
はっきりとは見えなかったが2リットル入り紙パック酒と
その傍にお摘みらしき物があったようだ。
かなり酔っている感じがした。
この後おとなしく、お昼寝でもしていてくれればいいのであるが、
帰路の途中で絡まれるのも嫌だなと正直思った。
散歩を終え、陸橋に差し掛かった。
その時、彼の姿は見えなかった。
陸橋中央から左へ曲がり、下りに入った瞬間、彼の姿が目の前に現れた。
なんと彼は箒を持ってお掃除をしていたのであった。
落ち葉を勢い良く掃いていた。
ただ、ほとんど落ち葉はなかったのだが、、、
彼は一体何を思って掃除をしていたのか?
今まで彼のそのような姿を見た事はなかった。
警察官が来て揉めている姿。
酒を飲み、寝ている姿。
それしか知らない。
彼の人生を考えた。
分らない。
詮索しても仕様がない。
彼は彼で悩み暮らしているのだろう。
彼も社会に生きる一員である。
酒を飲み、酔っぱらい、ふと考えたのかもしれない。
「俺に出来ることって、、、?」と。
今日は大笑いさせて頂きましたよ!
確かに僕とは違って、骨太のガッシリとした体格。
奥様の仰る通りの、熊のような風体。
それがサングラスをかけて、あの坂道を時速6キロ弱のハイスピードで額に汗して、のっしのっしと近寄ってくる!
そりやぁ、みんな避けていくわ!!!