「川の辺のギターショップ」 |
「オールド」
今日は第4土曜日。
久し振りにギターショップへ行こう。
例の「噂」の件を店長に報告しなければならない。
丸3週間もお預けにしていた。
申し訳なく思った。
俺は一度約束した事は絶対に守る。
「あっ、良い時に来はりましたわ」
「凄いオールドの28が入荷したんですよ」
「一度、弾いてみて下さい」と店長は言った。
「これ以上のものはチョッと無いですよ」
「50年の28です」
「オール・オリジナルです」と鼻を鳴らし、
上気しながら捲くし立てる。
「それほど凄いんか?」
「ほな、見せて」と催促をした。
報告は後回しだ。
いつもの「ガツン」で弾いた。
「ド~ン」と来ない。
「ズン」抜けもない。
それと、弾き難い。
チューニングも甘い。
爺さんとこへ行って以来、チューニングに神経を払うようになった。
「如何ですか?」
「凄いでしょう?」
「こんな音には滅多にお目に掛かれませんよ」と勢いよく迫ってくる。
「カポ、貸してくれる?」と訊ねた。
「いやっ、逸品ですから、カポ傷が入ると困るんです」という。
「そうか」
「それやったらええわ」
「おおきに」
「帰るわ」と店を出た。
余りにも違いすぎる。
同じ年代の同じ型番のギターの筈だ。
俺には理解出来なかった。
「そうだ、爺さんに訊いてみよう」
車に飛び込み、ブッ飛ばした。
「今の時間なら、爺さんに会える」
そう確信していた。
順々に拝見させて貰っています。