「宿題」 |
携帯電話が鳴った。
「ヒロさん、エム・ファクトリーの三好です」
「永年の宿題の答えを今回示します」、
「宿題?」、
「サンライズの取り外しの件です」、
「あぁ~、その事か」、
「やっと、答えが出ました」と言う。
6~7年前の宿題だ。
サウンドホールに取り付けられた
サンライズ・ピックアップの取り外しには手間が掛かる。
慣れるとそれ程でもないのだが、面倒である事は間違いない。
多くのプレーヤは外さず、取り付けたままにしてしまう。
ギターに悪影響が出る。
取り外しが簡単に出来る構造を考えなくてはいけない。
この事を彼に伝えた。
サンライズの重量は約150G。
これでも初期のものより20G軽くなっている。
トップにこれだけの重みを加える事は
ギターの鳴りを損ねてしまう。
サウンドホールを塞ぐ事にもなるので、
謂わばダブルパンチを食らったようなものである。
このピックアップの音質・電気特性は
他のマグネットタイプより数段優れている。
コンタクト・ピックアップとの併用、
いわゆるデュアルタイプとすることによって
大音量での使用が可能となる。
ミックス加減を調整し、
互いの利点を引き出す事によりハウリングに強く、
程よく音質も確保される。
この優れたピックアップシステムを
上手に利用するには条件がいる。
使用後には必ずサンライズを外す事である。
これを怠るとギターの音は確実に悪くなって行く。
音の劣化には気付き難い。
まるで糖尿病のようなものだ。
正に生活習慣病と言ってもよい。
我々は慣れている。
簡単に取り外しが出来る。
と思っている。
しかし、世間(お客さん)はそんなもんじゃない。
外すのは難しいし面倒だ。
と思っている。
だから、外さずに放置してしまう。
結果、ギターそのものの音質劣化を招く。
外しやすい構造を考えよう。
これが宿題だった。
少しでも取り外しが楽になればお客さんも、
少しの手間なればやってくれるだろう。
これを期待するのである。
やる価値は在る。
彼はこの宿題を忘れずに取り組んでいた。
今、信頼度・耐久力・音質において
彼の作るピックアップ・システムに勝るものはない。
その秘密は彼の探究心であろう。
素晴らしい。
宿題の回答を早く見たい。
そんなに厄介な物なのですか。
予備知識もなしに、憧れのギタリストが付けてるからって安易な気持ちで付けるとえらい事になりかねないのですね。
そんな小難しい物だとは全く知りませんでした。
普通のギター屋さんなら、そこまで教えてくれないかもしれないですよね。
いよっ!さすが!普通じゃないギター屋!!