「改めて思うこと」 |
「絃高を下げて欲しい」との依頼だった。
2~3週間前の夜に彼から電話があった。
「フィールズの音に変化が起こった」という。
こういう場合、よい変化の事ではない。
ネックの反り、急激な絃高の変化がギターに起こっているのかを訊ねた。
そのような変化はないと言う。
低音の「切れ」に変化が起こったと言う。
その時は「連日の高温と多湿に因ると思う。
心配は要らない」と返事をした。
彼のフィールズはこの2月に納めたF-RCのローズウッド。
彼の奏法はフラット・ピッキング。
ジャンルはブルーグラス、カントリー、ロックと多彩である。
絃高をチェックした。
6絃で2.6mm、1絃で1.8mm。
フラット・ピック奏法では程好い絃高だ。
音を出すと、確かに低音の切れが少々欠けている感じがした。
6絃を2.3mm、1絃で1.6mmにした。
*ここで云う絃高は12thフレット上面と絃の下面との距離の事。
見事に低音の切れは戻った。
音の分離も申し分ない。
ビビリもない。
惚れ惚れする音だ。
絃高を下げることによって、
絃の緊張度が弱まり、
振るえが戻った。
テンションは強すぎてもいけない、
弱すぎてもいけない。
各々のギターのポイントを探る事が大切だ。
改めて実感した。
彼曰く 「反応の良いギターを持つと強く弾く必要がなくなる」
「音量は十二分に出でているのだから、
ピッキングのコントロールだけを考えて弾くようになった」
「お蔭で、ギターが上手くなった」
「一つ一つの音が持つ意味を考えて弾くようになった」と。
フィールズはフィンガー・ピッキング用と言われている。
フラット・ピッキングでも充分に使える。
寧ろ良い。
要は、コントロールだという事を再認識した。
それと、ギターは持ち主の好みへと変化をして行くのか、
或いは持ち主がギターへ馴染んで行くのか
という問題を提起されたような気持ちとなった。
具体的な答えは出ないだろう。
堂々巡りの世界である。
この問題を考えている最中が一番心地よい。
まだまだ知らない事は沢山ある。
経験を積み、「好いギターとは何か」を追求する。
演奏者に対してより好いサービスとは何かを考える。
これこそが我が使命だと実感した一日であった。
京都のHさんに感謝したい。
自分で管理できるか心配になってしまします・・・
何かの原因で音色が変わってても分かるかどうか不安です・・・
特に「原因~だと思います、心配要りませんよ」っていうくだり。その一言で僕のような患者さんは安心します。