「お蔭様で」 |
台風がノロノロと自転車並みの速度で大雨を降らせながら通過した。
と思ったら、
嵐のように弾きまくり、風のように去っていった人がいた。
挙句の果てに、超お喋り人間に邪魔をされた。
おかげさまで、お散歩の中止を余儀なくされてしまった。
分厚い雲に覆われ、
いつ雨が降ってもおかしくない空模様だった。
蒸し暑い。
汗が噴出してくる。
500mmのペットボトルを持参しているが、
見る間に飲み干してしまった。
公園の緑のトンネルから微かに抜けてくる風が心地よい。
いつもは落語を聴きながらニヤニヤ顔で歩いている。
今日は雨に振られる可能性が大。
プレヤーは置いてきた。
音なしで歩くのも悪くはない。
公園にも音がある。
遊びまわる子供たちの声。
野球をしている青年たちの掛け声。
ミットに投げ込まれるボールの音。
打球音。
風にざわめく木々の声。
人工の音に掻き消されていた
何気ない音に新鮮さを感じた。
蝉の声があちらこちらで聞こえてくる。
真夏の到来が近い。
空に薄日が指してきた。
向こうから、おばあちゃんが乳母車を押しながらやって来た。
会釈をすると、怪訝そうに、こちらの顔を覗き込んで、
「大丈夫やった?元気?」と声を掛けられた。
「はい、お蔭様で」と答えた。
一週間のご無沙汰だったので、心配を掛けてしまったようである。
おばあちゃんのお歳は、80代の後半とお見受けするのだが。
とてもお元気である。
日に焼けたちっちゃな顔に、
まん丸めがねを掛けている。
お帽子をちょこんと被っている。
可愛いお年寄りだ。
心配をお掛けしないように、
週2~3回は頑張らなくてはならないと思った。
くれぐれも妻子ある身と云う事を忘れない程度に・・・