「Ervin V. Somogyi」 7 |
この写真はソモギさんの家でのパーティーで撮った写真です。
1992年に工房は復活したが、
ここでの製作期間は短かった。
建物の所有者との折り合いが悪くなったので
仕方がないといっていた記憶がある。
この頃から彼はアプレンティスを採用するようになったと思う。
只、純粋な弟子というものではなかったようである。
ある程度、道具が扱えるというのが条件であった。
全くの初心者はアリゾナ州にあるローバート・ベンで
5ヶ月の研修を受けた後にやって来る。
長くて一年、だいたい数ヶ月くらいで辞めてゆく。
そして独立してゆく。
そのような中でも、彼の日本人への評価は高かった。
真面目で、素直そして我慢強いこと。
最近の事情は知らないが、
一番印象に残ったのが松田君と江幡君。
松田君はオークランドの工房へ移った時くらいにいたと思う。
確か太陽テントという大手の会社に在籍していたのを辞め、
渡米した若者である。
ロフト部分の1~2畳程度の場所で寝起きをしていた。
まさに、命がけである。
記憶では、数年いたと思う。
これは異例のことである。
今では独立し、立派なギター製作家となり活躍されている。
彼の第1号作品をサンフランシスコにある
ギター・ソロというお店に出したところ、
地元で有名なミュージシャンが買っていったという。
非常に珍しい事で、
Ervinはしきりに「彼はシンデレラ・ボーイだ。
俺は嫉妬をおぼえる。」、
「俺の1号機はそんな簡単には売れなかった。」と
笑いながら言っていたことを思い出す。
江端君(左)と松田君(右)
江幡君は生真面目な感じのいい若者だ。
彼がいたのは現在の工房だった。
住居を改造した工房だ。
狭いながらも一部屋をあてがわれていた。
松田君の時代とは隔世の感がした。
一度、夜中に泥棒が侵入したことがあったらしい。
気配を感じたので、
怖かったが誰かが居ることを示す為に
ゴトゴトと音を出した。
そうすると、相手はビックリして逃げていったらしい。
気の弱い泥棒でよかったと思う。
それ以来、窓には格子が入った。
彼は結構飛ばし屋さんだ。
車の話である。
おとなしそうに見える人がひとたび車に乗ると人が変わる。
彼はその典型らしい。
それで大事故にあった。
車はひっくり返り、ぐしゃぐしゃに潰れたらしい。
なんとカスリ傷一つなく潰れた車の中から出てきたそうだ。
その結果、彼の車は新車同様のピカピカのワーゲンになった。
「少し前に車を買ったんだ。いい状態の中古のワーゲンだ。
長い間、おんぼろのワーゲンだったけど、
これは自分への御褒美のつもりだよ。」とErvinはいった。
「ヒロ(江幡君の事)は一晩で新車同様のワーゲンを手に入れた。
彼はミラクル・ボーイだよ。」と
少し考え深めにいっていた事を思い出す。
つづく
ソモギさんの元で修行すると、もれなく幸運がついてくるのですかね?
きっとソモギさんが幸運の持ち主で、周りの人に振り撒いてるんでしょうね。
やっぱりアメリカって日本人の感覚と全然違うんでしょうね。
日本のミュージシャンだったら、無名のギターがいくらいい音だったって、なかなか使えないんじゃないかと思いますね。
自分に自信が無いって事ではないと思うのですが、どうしても人と違う事をするとなると臆病な気がしますね。