「女々しさ一杯」 |
「もっと早く言ってよ!」
嫁からの予期せぬ言葉で湯沸しポットのボタンスイッチの上に置いた指先の力を抜いた。
同時に咽喉元まで出掛かった言葉も飲み込んだ。
言葉は怖い。一度口から放たれた言葉を呼び戻すことは出来ない。
不用意に発せられた一言は一瞬にして相手の心を凍り付かせてしまう。
それと同時に今まで築き上げて来た世界さえも瞬時に破壊してしまう程の破壊力を持つものである。
俺の知り合いの中でも複数の家族が何気ない一言で離別したのを知っている。
男からの場合もあり女からの場合もある。
今までの誤解の積み重ねもあっただろうし、虫の居所が悪かったと言うこともあろう。
方々注意をすることは売り言葉に買い言葉にならないように努めることしかない。
俺が今までの人生で学んだことの最重要部分であるともいえる。
俺としては 「今日のギター教室は1時からスタート」
と何時も通りのことを伝えたに過ぎない。
しかし彼女は彼女の都合があったのであろうか。
午後1時は彼女にとっては不都合だったに違いない。
立場を入れ替えて考えれば理解出来る。
俺もその立場であればそう考えるのかもしれない。
只、言い方であろうか、言葉がきついのである。
俺が引っ掛かっるのは、毎度の事であるが、そこである。
彼女に悪気はないのは分かっている積もりである。
しかし余りのストレートさにうんざりさせられるのもしばしばである。
何とかならないものであろうか。
今もそれを考えている。
内の嫁は不思議である。
俺の耳には毒としか聞えないのだが、
吐いた後はケロッとして後に引き摺らない性質なのである。
しかし逆に引き摺っているのは俺である。
俺は吐かれた毒を只管反芻して考え続ける性質である。
如何やら女々しいのは俺の方であろうか。
溜飲を下げる積もりでこの様なことを書き進めてきたが、
何だか女々しさ一杯で、書いていて恥ずかしくなって来た。
この辺で止めることにする。
冷静でいる時の発言でも、相手の心情や感情で受け取り方が違って戸惑う事もありますが、
他人なら距離があるので、よっぽどでないと自分の意思だけを通そうとしないけど、
家庭内になると、理解して欲しさに我儘になってしまいがちですね。
それでもヒロさんの対処は大人ですね。
見習わないと。です。
そして、言いたい事言う事は大切です。
日本人の美学に 言わなくても察知する処もあって、
いずれ解ってくれるだろう…的になってしまいがちですが、
別個体ですもの、言わないと相手には通じない事の方が多いです。
私には言いたい事言って、ケロっとするって、できない事なんですね。
私の姉もそれができるんです。
羨ましいです。
ヒロさんと奥さん、凄くバランスとれてるようにお見受けします。
愚痴を言いながらノロケてるとしか思えません^_^;