「イレギュラーな一日」 |
昨夜は少し飲み過ぎた。
二日酔いとまでは行かないが、酒の気が体から抜け切らず体が重く感じる。
寝床でゴロゴロを繰り返し、やっとのことで起床した時には朝の連ドラは既に終っていた。
これで二回連続見逃したことになる。
体調が戻るのはお昼過ぎだろうと思い、
今朝はスローペースで進めようと決めていたのだが、
こんな日に限って、嫁はイレギュラーな提案をしてくる。
俺が起きて来る前に娘と義母に電話を入れ、段取りを決めてしまっていたのだった。
俺より遅く起きてきた兄ちゃんもとばっちりを受けてしまった様である。
そもそも事の発端は嫁が娘よりの依頼を易々と受け入れたことに因る。
娘は美容室へ行きたいので、嫁に孫のお世話を願い出たのである。
「Why Not!」、まさに 「猫にまたたび」 以上の効果だ。
俺たちの都合なんてたちどころに吹っ飛んでしまったという訳。
俺はスロー調整をしたい。
だから車を二台出せばいいのではないかとの折衷案を申し入れたのだが、
あっさりと却下。理由は簡単である。駐車場代が勿体無いからだそうだ。
こうなると事を動かそうなんて思うのは愚の骨頂である。
定められた時間までに見繕いを済ませることに専念すればいいだけである。
兄ちゃんの運転で出掛けた。
地下駐車場に車を留めた時、
突如 「上の製玉屋さんで卵焼きを買って来るわ」 と言い出した。
如何やら孫への差し入れのようだ。
俺は所定の行動に移る。
「ホット・モット」 へ娘が電話注文を入れている弁当を取りに行くことである。
店に着くと既に用意されており、1,980円の請求を受けた。
「成る程、そういうことか」 と妙に感心する。
テーブルに弁当を拡げ、俺・嫁・兄ちゃん・娘の4人が所定の位置に座る。
そこに孫も加わっているのだが、不思議な気分がした。
久し振りの旧家族での一家団欒である。
家族とはいいものであると改めて思った次第。
卵焼き屋さんの出し巻きは美味しかった。
嫁は 「アウトレット価格で安かってん」 と大自慢。
「アウトレット?」 と不思議がると、「ちょっと、型崩れらしいで」 と説明してくれた。
孫も旨そうに食べている。
ほんの束の間の団欒であったが、俺にとっては新鮮なひと時であった。
嫁のイレギュラー行動に感謝である。