「年の瀬の夕暮れ時」 |
師走も早10日である。
あっという間だ。
後20日余りで忘年会か。
そう思うと、何かし残しているものがないかと、余計に気が急くのだが、
それすら思い出せない。
ギターが仕上がり、その受け渡し時期の調整も大変だが、
今は忘年会のお知らせ等に忙殺されている。
何もすることもなく、手持ち無沙汰に過ごすよりは却って気分が安定し、
余程気も紛れる。
しかし、これだけデジタル化が進んでいるのだから、
お知らせや出欠の確認作業等はもっと楽に熟せるとは思っているのだが、
相も変わらず手作業で遣っている。
Eメール等も一件一件打ち込んでいるのだから、
どうしようもない程手間が掛かって仕方がない。
今年は何時もの年よりご遠方からの参加者が多いようだ。
態々ホテルを予約しての御参加を頂いている。
本当に有難い限りです。 m(_ _)m
何人かのお客さんに携帯電話で連絡を入れ、
パソコンでの確認作業も終え、一段落をした。
コーヒーでもと思い、椅子から立ち上がった矢先、
扉の前でガタガタゴソゴソと音がした。
この音はバギーの音である。
案の定娘と孫のご来場であった。
孫はおねんね中だったが、急に暖かな部屋に入った所為か目を覚ましたようだ。
寝ぼけ眼で辺りを見回していたが、俺を見つけると、じっと目を凝らして見詰めている。
暫し睨めっこをしていると、ニコッと笑った。
やっと思い出したようだ。
バギーから下ろし、ソファーの上に置いてやると、勢いよくそっくり返る仕草をする。
その仕草を 「ヒナ・バウアー」 と呼んでいるのだが、
寝返りが出来るようになるのも、もう直ぐだろう。
少し前にエアコンを入れておいて良かった。
孫は日に日に成長する。
翻って、俺は日に日に老いて行く。
これだけは如何ともし難い。
しかし、未だ未だ俺には夢がある。
やがて孫も言葉を理解出来る年頃になろう。
その時には彼に俺の夢を語ってやろう。
そんな日が待ち遠しく思える、年の瀬の夕暮れ時だった。