「川の辺のギターショップ」 |
表紙絵 戸田 勝久氏 作品より
「プロローグ」
一本杉が見える。
石の階段を下りると爺さんの店だ。
晩秋の風が冷たい。
あの頃の風景は今も変わってはいない。
俺も厄年だ。
世間では一端のギター職人で通っている。
今ではルシアーという舶来の言葉を使うらしいが、
俺は職人さんと呼ばれるほうが誇りに思う。
店を飛び出して6年目の秋が去ろうとしている。
爺さんの店には3年半お世話になった。
厳しい修行と言えるものではなかったが、
ギターへ向かう姿勢は学んだ積りだ。
俺が製作したギターを見て爺さんはどんな反応を示すだろう。
これが楽しみでここへ来たようなものだ。
爺さんは居るのかなぁ?
ドアの前に来た、深呼吸をしてノブを握った。
「こんにちは、ご無沙汰しております」と声を掛けた。
誰もいない。
テーブルの上にギターが一本、
その傍に「ご自由にお弾き下さい」と書かれた紙が一枚置いてある。
以前と同じだ。
何も変わっていない。
ほのかに甘い香りがする。
きっと奥にいるに違いない。
何時まで経っても誰も出てこない。
ギターを見た。
鈍い光を放っている。
手に取って触った。
なんと云う感触だ。
ねめっとした手触り。
ネックの触り心地のよさ。
弾いてみたくなった。
「あっ」、声が出なかった。
この自然な響きは何処から来るのだろう。
俺にはこの音は創れない。
「負けた」「まだまだや」と思った時、
「生きとったか?」
憎まれ口が奥から飛んで来た。
ここまでは合格点ですね。はっはっはっ
ところで話は変わるのですが、ヒロさんとこでは使用済みの絃はどうしてますか?
やっぱり燃えないゴミですか?
先日、三木楽器に行ったら回収ボックスが置いてあって、リサイクルできると書いてあったので、それならと思ったのですが、もちろんそんな物持ち歩いている訳でもなく、期間限定みたいで、そんなに用事も無いのにわざわざ絃だけ持って行く気にもならないですからね。
ネットで調べると三重県で回収の運動が起こっているようです。
郵送すればいいのですが、なかなか面倒ですからねぇ・・・
銅とかって、最近貴重になってきているようですし、リサイクルできるなら上手も下手も関係ないですから(笑)
でも、リサイクルするのってコストが凄くかかるらしいですから、個人で回収するのは難しい事ですからね。
やっぱり三重県に送るべきですかね?
これからの展開が楽しみです♬
ゆっくりやってください。楽しみは長い方が良いので。
今は、演劇部の顧問をしてて、脚本も書きます。
産みの苦しみは筆舌に尽くしがたいですが、はまったセリフを思いついた時の快感といったら……
国語の先生の目から言わせてもらうと、出来るだけ具体的な(ヒロさんにしか書けない)描写があった方が嬉しいです。
店の佇まい、爺さんの佇まい、ギターやその製作過程の緻密な描写など…
「テーブルの上のギターは、Dタイプだった。カッタウェイのない、オーソドックスな14フレットジョイント。ヘッドマークは昔と変わっていない。表甲は素晴らしい柾目のエンゲルマンスプルース。抱えているとメイプルの甘い香りがする。裏を返すとため息が出るような虎目。爺さん、やっぱり凄いわ、と素直に思えた…」
…てな感じでどうでしょう?
楽しみです。