「Ervin V.Somogyi」 8 |
1997~8年頃の出来事を思い出した。
当時、Ervin の中古ギターがアメリカで出回る事は珍しかったのだが、
ワシントン州のエベレットという町の楽器屋さんでMDCを見つけた。
さっそく、ホールドし値段交渉をして送金した。
しかし、全く音沙汰がない。
この楽器屋さんとは付き合いは長いので安心していたが、どうもおかしい。
そうこうしているとErvin から連絡が入った。
「中古のMDCがあるんだが、買うかい?」という。
ピーンときた。
「Ervin, そのギターのシリアル番号は・・・ではないか?」と尋ねた。
「Hiro,何故知っているんだ?」と驚いていた。
経緯を説明した。
そして彼も協力して相手に尋ねてみるとの事となった。
なんと相続問題に絡んで、問題がややこしくなっていたのである。
しかも、当初そのギターを換金しようとして持ち込んだ楽器屋さんが
交通事故にあい瀕死の重症であるとの事。
どおりで、連絡が付かなかった訳だ。
納得した。
しかし、問題はもっともっと複雑になっていた。
要は、お金の問題だった。
勿論、当方も払ったお金を取り戻せるのかが最重要問題である。
そうこうしていると、突然相続人の代理人である
ヘルフィンという名前の弁護士から電話が入った。
要約すると、お金を支払った相手である楽器屋を訴えるのかという事である。
そこから始めなくてはならないという。
実は、これは非常に面倒な事になるし、
まったくこちらにはメリットがない。
時間と費用が掛かりすぎる。
2~3日の時間をくれといって電話を切った。
Ervin と実利的な解決策を相談した。
幸いにもギターはErvin の手元にある。
解決策はこうだった。
1.相手の楽器屋は当方からは訴えない。
2.その楽器屋に支払った金は相続人側で回収せよ。
3.あといくら払えばギターを当方のものとすることが出来るか。
しかし、このままでは、損が残るだけ。
金銭的に損も得もない方法を考えた。
チャラとなれば幸いと思うこと。
このギターが日本ではいくらで売れるかを計算した。
諸経費を引く、その残金が彼らに提示する金額だ。
このアイデアが浮かんだ翌日、ヘルフィン氏から再度の電話が入った。
根回しはErvin から既にしてある。
Ervin は上手く解決するまではギターは渡さないと言ってくれている。
こういう交渉は難しい。
一発で決めるにはトータル金額の桁が変わるラインが目安だと判断した。
決まった。
すぐにErvin に連絡した。
窓口はErvin になってもらい、送金も彼の口座へ振り込んだ。
無事解決した。
偶然が生んだ、ハプニングであったが、
面白くもあり、スリリングでもあり、
ニガイ思い出のひとつであった。