「Ervin V. Somogyi」 3 |
この訪問のときに初めて製作を依頼した、
完成したのが1988年シリアル番号100である。
はじめて見たときのErvinの作品に対する印象はよくなかった。
確か、1970年代後半の作品であったと思う。
後年、彼と話をしたときにこの話をした。
彼も認めていた。
しかし1980年台に入り、化けた。
それまでは漫然とギターを作っていたと彼は認める。
著名なクラッシック・ギター製作家John Gilbert氏からの影響が大と思う。
Gilbert氏はコンピュータ技師であった。
根っから理系の人である。
ざっくりいうと、科学を取り入れたのである。
Ervinもそうした。
しかしギターは科学で割り切れるかといえばそうではない。
割り切れれば誰にだって「凄い!」ギターは作れるはずである。
解からないから面白い。
正解がない世界である。
だから、いろいろな思いをいだいてこの世界に参入できるのである。
しかし、ギター作りを科学的に捉えてゆく作業も大切である。
そこからデーターの蓄積が行われ、
それを経験則として次のギターへ盛り込み、
少しずつ変えて行く作業がギター作りであると思う。
1本完成させるのに約半年以上は掛かる。
その後のギターをトレースし、
検証しようとすれば、
どれくらい膨大な時間が必要なのかお分かりいただけると思う。
自分とErvinとの関係からいうと、
彼がギターを作り、自分がそれを売る。
単純にいえばそれだけで十分な関係だと思う。
しかしそれだけの関係では終わらなかったと表現した方が適切であると考える。
そのことは後述する。