静かさ |
また一つの時代が去ってゆく感じがした。追悼のVTRが流れている。
「いと・こい漫才」は静かだ。しかし、テンポは意外と速い。
切り替えしが速く、間延びさせない。絶妙の間を感じる。口跡が綺麗、語尾が明瞭。
それと、台本がいい。話題がいつも間近に在る。ほのぼのとした雰囲気を
漂わせているので、安心してゆったりと聴ける。貴重な漫才だったと思う。
今の漫才は、我々の世代からすると、少々煩く、騒がし過ぎると感じてしまう。
同時に台本のネタがきつ過ぎるきらいがある。世情の移り変わりと同時進行している様に
思えてならない。音楽の世界でも同じ様な流れがあると思う。
音量はどんどん上がり、エフェクターを過剰に利かした演奏になっている。
自分の勝手な推測だが、1980年代からの所謂ニュー・ミュージックという形態の音楽が
誕生し、電気楽器を取り入れる事が常態化した頃からだと思う。
ロック・ミュージックでは大音量・大エフェクト音は当たり前だが、アコースティックの
世界では如何なもんだろう?
音を小さくし、ノン・エフェクターで練習して見て下さい。
きっと、ショックを受けると思いますよ。こういう自分も、若い頃はバンバン音を出し、
エフェクター(エコー・マシーンとファズ程度で、殆ど無かったですが)を利かして
やっていました。或る日、プロの方から「アンプの音を絞り、エフェクターをカットして
弾いてごらん。」と言われた。悔しいけれど、「なんて下手なんだろうと!」と思った。
「だろう!」と言われた。それから、一音一音しっかりと弾く、そして歌う練習をした。
「静かにやるほうが難しいんだよ。」と言われた。
要は、音の始末が出来るか、出来ないかの問題だろう。
今、自分はこの事の大切さを再確認しているところです。
喜味こいし師匠のご冥福をお祈り致します。